研究概要 |
本年度の研究計画に基づきヒドロキシルアミン、ヒドラジンのN-O,N-N結合の開裂による[3,3]シグマトロピック転位反応の体系化を目指し、交付申請書の計画に基づきアシルヒドロキシルアミン、アヒルヒドラジンの塩基によるエノレート生成と転位反応を行い、次の成果を得た。 (1)N,O-Diacylhydroxylamineに関して、従来、進行しなかったカルボニルに隣接する炭素が1級および3級の場合に[3,3]単位の椅子型遷移状態の構成に好都合な構造条件、即ち、N,O-Diacylhydroxylamineの窒素原子上の置換基をmethylからisopropyl,phenyl,t-butylと嵩高いものとすることにより収率良く進行することを見出した。 (2)N,N-diacylhydrazineに関して5,6,7,8員環の環状ヒドラジンジアシレートの塩基による反応で高収率で中員環ジアミドを生成することを見出した。 (3)芳香族ヒドラジンアシレートの塩基による[3,3]転位が進行することを見出すとともに、立体的に[3,3]転位が進行し難い系で、ヒドラジン類では新規の[1,2]転位および[2,3]転位が進行することを発見し、新しい反応機構を提出した。
|