1)アクラシノマイシンのアグリコンであるアクラビノン生合成遺伝子系に見出されたORFのうち、酸化酵素(OX)、縮合酵素(KS)、Chain Length Factor(CLF)、Acyl Carrier Protein(ACP)各酵素について、その発現を試みた。発現系としては、大腸菌を宿主とするpETベクター系を用いた。OXは、His-tag付加体として効率よく発現、精製することができた。その活性はemodinanthroneを代替基質とすることにより、確かにanthroneからanthraquinoneへの酸化酵素活性を持つことを確認することができた。また、部位特異的変異導入により、Trp-67が活性発現に重要であることを確認した。また、KS、CLF、ACPについては、Thioredoxinとの融合タンパクとして、発現させ、KS、CLFは、封入体として、また、ACPは可溶性タンパクとして得ることができた。KS、CLFは、尿素による変性、refoldingにより可溶可できた。現在、Thioredoxinの切り放しと再構成系の確立を検討中である。 2)ダイネミシン生産菌M.chersinaのゲノムDNAをベクターpKU110を用いてStreptomyces lividansに導入し、ダイネミシン耐性株をスクリーニングし、ダイネミシン自己耐性遺伝子の検索を試みた。S.lividans野性株の約10倍の耐性を示す形質転換体を選択することができたが、回収したプラスミドのインサート中には耐性遺伝子は見いだされず、S.lividansの自然変異により、耐性株が出現したものと考えられ、現在さらに耐性株のスクリーニングを検討中である。
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