光学活性なα-アミノホシホン酸は、ペプチドミメティックスにおける基本構成単位として、また、それ自体に生物活性を持つものが多く存在することから、新しい医薬品のリ-ド化合物として期待されている。この光学活性α-アミノホスホン酸を効果よく合成する方法として、我々は既にランタン-カリウム-ビナフトール錯体(LPB)を触媒として用いるイミンのヒドロホスホニル化反応の開発に成功し、1995年に報告した。得られるα-アミノホスホン酸エステルを加水分解することにより、対応するイミンより2工程でα-アミノホスホン酸の合成が可能である。本研究課題では、3-チアゾリン類のような環状イミンを基質とするヒドロホスホニル化反応についての検討を行い、イッテルビウム-カリウム-ビナフトール錯体(YbPB)を触媒として世界で初めて本反応を触媒的不斉合成に展開することに成功した。本反応では5-20モル%の触媒を使用し、室温から50℃という触媒的不斉合成としては比較的高温な条件下でも、最高98%eeに達する光学純度で目的物を得ることが出来た。本反応の応用として、リウマチ治療薬であるL-ペニシラミンのホスホン酸アナログの合成にも成功した。溶液中におけるYbPB触媒構造についても検討し、ほぼ解明することができた。
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