研究概要 |
ラジカル環化反応における位置および立体化学の制御に関して研究を行い、以下の知見を得た。 1.ビニル基末端にチオ基またはフェニル基を有するN-ビニル-α-ブロモアミドの4-exo選択的ラジカル環化反応の不斉誘起を検討し、高い不斉収率でβ-ラクタムが得られることを見いだした。また、本反応をカルバペネム系抗生物質(+)-PS-5、(+)-チエナマイシンおよび1β-メチルカルバペネムの新しい合成法に応用した。 2.窒素原子上に光学活性な1-フェニルエチル基を有するN-(1-シクロアルケン-1-イル)-αブロモアミドの5-endo選択的ラジカル環化反応においても良好な不斉誘起が起こることを明らかにし、本反応を(-)-γ-リコランの合成に応用した。 3.オレフィン末端にフェニルチオ基を有するN-(1-シクロヘキセン-1-イル)-α-ハロアミドのラジカル環化反応を検討したところ、速度論的支配条件下では4-exo型に、熱力学的支配条件下では5-endo型にそれぞれ環化反応が進行することを明らかにした。 4.ビニル基末端にチオ基を有するN-ビニル-2-ブロモベンズアミドおよびN-ビニル-2-(2-ブロモフェニル)アセトアミドがそれぞれ効率良く5-exoおよび6-exo型アリールラジカル環化反応を行うことを見いだし、本反応をチレニン、レンノキサミン、テトラヒドロパルマチンおよびソ-ラチン等アルカロイドの合成に応用した。 5.N-[0-(2-プロペニル)フェニル]-2,2-ビス(フェニルチオ)アセトアミドが位置選択的に8-endo型ラジカル環化反応を行うことを見いだした。
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