研究概要 |
1. 2-Benzocycloammoniumu N-methylideの[2, 3]シグマトロピー転位反応では,架橋構造化合物とスピロ構造化合物が生成し,その生成比は環の大きさに影響された.分子軌道法(AM1)により解析されたイリド構造は,イリドアニオンとベンゼン環との距離と生成比には関係がないことを示した.反応の遷移状態の解析より,環の大きさによって活性化エネルギーに差があり,これと生成比が関連していることが明らかになった.この研究結果は日本薬学会117年会(1997年3月)で発表される.同時にアメリカ化学会誌(J. Org. Chem.)に投稿され,現在印刷中である. 2. N-Substituted-N, N-dimethylammonium N-benzylideのStevens転位反応では,窒素上の置換基が収率に大きな影響を与えた.分子軌道法(AM1とPM3)によって,イリド構造からStevens反応の容易さの予測の可能性を調べたが,予測困難であった.しかし,同法によってイリドの[1, 2]ラジカル転位の遷移状態を解析し,活性化エネルギー値によって反応が推測できることが判った.この研究結果は日本薬学会117年会(1997年3月)で発表される. 3. 1-Methyl-2-(2-thienyl) pyrrolidinium 1-methylideが[2, 3]シグマトロピー転位によって2-methyl-1, 2, 3, 4, 5, 9a-hexahydrothieno [3, 2-c] azocineを与え,更にcis-cisoid-cis-5-methyl-3a, 6, 7, 8, 8a, 8b-hexahydro-4H-thieno [2, 3-α] pyrrolidino [1, 2-α] pyrrolidinium iodideに変化する機構を分子軌道法(AM1)を用いて解析した.結果はイギリス化学会誌に発表する予定で,現在準備している.
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