研究概要 |
1.1-Methyl-2-(2-thienyl) pyrrolidinium 1-methylideが[2,3]シグマトロピー転位によって2-methyl-1,2,3,4,5,9a-hexahydrothieno[3,2-c]azocineを与え,更にcis-cisoid-cis-5-methyl-3a,6,7,8,8a,8b-hexahydro-4H-thieno [2,3-a] pyrrolidino [1,2-a] pyrrolidinium iodideに変化する機構を分子軌道法(AM1)を用いて解析した.結果をイギリス化学会誌に発表した. 2.Sommelet-Hauser転位とアリル転位反応についてイリドより遷移状態を経て転位生成物に至る過程をAM1法とPM3法を用いて詳細に調べた.両方ではやや異なる反応過程を示すことが判明した.Sommelet-Hauser転位反応は炭素-炭素結合の生成と炭素-窒素結合の開裂が協奏的でなく段階的に進行する反応である可能性が出てきた.これに関しては現在,非経験的分子軌道法(Gaussian 94)を用いて更に詳しい検討を開始した. 3.アンモニウムイリドと硫黄イリドのシグマトロピー転位では反応性に差があることが実験的によって示された.硫黄イリドの構造,電子状態は半経験的分子軌道法では解析できないため,Gaussian 94を用いて解析をおこなった.実験結果を解析するに当たり,計算より得られた知見は大いに参考になった.しかし,計算精度の優れているB3LYP/6-31G^*法を用いたため,多大な計算時間を必要とし,遷移状態の解析にまで至ることができなかった.この研究は現在継続中であるが,研究結果の一部は日本薬学会118年会(1998年3月,京都)で発表される.
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