1. 平成8、9年度の本研究において、漢薬・甘松香のメタノールエキスに抗うつ活性を認めた後、抗うつ活性を示す画分を濃縮した。平成10年度の本研究では、活性画分に含まれる成分を精査した。その結果、グアイアン骨格を有する5種の新規セスキテルペノイドを単離した。それらの構造は、2次元NMRスペクトルなどの物理化学的手法により決定された。さらに、新規グアイアン型セスキテルペノイドの抗うつ活性ならびに鎮痛活性をマウスを使ったin vivo試験により検討したところ、数種に明確な鎮痛活性が認められた。 2. パーキンソン病はアルツハイマー型老年痴呆とともに高齢者に多発する脳疾患であり、新たな治療薬が求められている。平成9年度の本研究では、ポールテスト、カタレプシーテストがきわめて簡便な抗パーキンソン薬のスクリーニング法として用いられることを明らかにした。今年度は、ポールテスト、カタレプシーテストにより、各種天然資源に含まれる活性物質を探索した。その結果、漢薬・呉茱萸に強力な抗パーキンソン作用を認めた。 3. 担子菌ケロウジから新規ジテルペノイド6種を単離した。さらに、物理化学データを解析するとともに、種々の化学変換を行うことによりジテルペノイドの構造を明らかにした。ジテルペノイドは、アルツハイマー型痴呆症の治療や予防に有効といわれる神経成長因子(NGF)の合成を促進した。
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