研究概要 |
1.光学活性N_α-tert-butoxycarbonyl-N_α-methyl-4-bromo-1-tosyltryptophan methyl ester(1)を原料とた、麦角アルカロイドChanoclavine-I(2)の全合成を完成させた[Tetrahedron Lett.,37,9309(1996)]。 1のα-カルボキシル基を還元してホルミル基とした後、Wittig反応によってα,β-不飽和エステル(3)を得た。3のPD触媒による分子内ビニル化反応(Heck反応)によって、三環性化合物、cyclohexabenz[c,d]indole誘導体(4)を収率よく得た。この化合物から11行程で標的化合物であるChanoclavie-I(2)の合成に成功した。鍵中間体である4は、Chanoclavine-Iばかりでなく、Lysergic Acidなどのほかの麦角アルカロイド類のよい中間体であると考えられるので、現在その他の天然物の合成も検討中である。 2.N_α-methyl-N_α-tert-butoxycarbonyl-4-(2-hydroxy-2-methyl-1-butene-1-yl)-1-tosyltryptophan(5)の脱炭酸を伴うラジカル反応を試みたが、期待したcyclohexabenz[c,d]indole骨格への閉環は、現在のところ成功していない。
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