研究課題/領域番号 |
08672477
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研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
勝 孝 岡山大学, 薬学部, 助教授 (40112156)
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研究分担者 |
永松 朝文 岡山大学, 薬学部, 助教授 (40155966)
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キーワード | イオン選択性電極 / ポテンシオメトリー / イオノフォア / 有機アンモニウム / リン酸エステル / 分子認識化学 / リポソーム / 膜透過 |
研究概要 |
今年度は、イオン電極のイオノフォア開発を中心に研究を進めた。特に、いくつかのリン酸エステルが有機アンモニウムイオンに対するイオノフォアになることを初めて見いだした。有機アンモニウム電極を作製するには、これまでアミンイオノフォアI(カリックス[6]アレーン誘導体)およびジベンゾ-18-クラウン-6が広く用いられてきた。これらのイオノフォアを用いた電極とリン酸エステル、例えば、リン酸トリス(2-エチルヘキシル)を用いた電極との間で選択性を比較すると、リン酸エステルの場合では特にK+およびNH_4+に対してよい選択性を与えた。有機アンモニウムイオンとリン酸エステルとの相互作用の直接的な証拠を得るために、ヘキシルアンモニウムとリン酸p-トリルを用いて^1H-NMR測定を試みた。ヘキシルアンモニウムの脂肪族プロトンシグナルは、リン酸p-トリル存在下では、NH_3+基に近いプロトンシグナルほど高磁場シフトを示した。これは、(1)ヘキシルアンモニウムのNH_3+基がリン酸p-トリルのP=O基の負電荷に分極した酸素原子と相互作用したために、ヘキシルアンモニウムの四級窒素から生じる強い誘起効果を減少させ、(2)その結果、窒素原子の近くにある脂肪族プロトンのシグナルがより強く高磁場シフトしたことを示した。 その他の研究として、ESR法による「リポソーム膜の透過性マーカー」として使用されているスピンプローブ、テンポコリン、に応答する電極を開発し、免疫試薬の定量にイオン電極法がESR法よりも簡便性・経済性に優れていることを明らかにした。
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