研究課題/領域番号 |
08672482
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 名古屋市立大学 |
研究代表者 |
渡辺 淳 名古屋市立大学, 薬学部, 教授 (80080175)
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研究分担者 |
巾 正美 名古屋市立大学, 薬学部, 助手 (70254307)
湯浅 博昭 名古屋市立大学, 薬学部, 助教授 (20191471)
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キーワード | 肝取り込み / 肝実質細胞 / クッパー細胞 / スカベンジ-受容体 / スカベンジャー様受容体 / エンドサイトーシス / 分画ヘパリン / 血漿タンパクとの相互作用 |
研究概要 |
取り込みにスカベンジャー受容体の関与が判明している肝非実質細胞(Kupffer細胞)と類似のスカベンジャー様受容体の関与が予想される肝実質細胞に関して、1)その総取り込みに及ぼす分子量の影響を比較し、2)それらの取り込みに及ぼす血漿タンパクの影響も評価し比較を行ない、以下の結果を得た。 1)分画ヘパリンの取り込みには両細胞種共に濃度依存性が認められ、ラット遊離Kupffer細胞において、分画ヘパリンの分子量を23Kdaから10Kdaに低下させると、最大結合キャパシティー(B_<max>)は1.5pmol/10^6cellsから2.3pmol/10^6cellsとなったのみで、大きな変化が無かったのに対し、解離定数(K_d)は5.7nMから50nMへと約10倍大きな値を取って、分子量の低下とともに、Kupfferへの結合の親和性が著しく低下することを示していた。これらは先に初代培養肝実質細胞において認められたものと同様の傾向であった。即ち、分画ヘパリンの分子量を20Kdaから7Kdaに低下させたとき、初代培養肝実質細胞への取り込みの最大結合キャパシティー(B_<max>)は0.34pmol/min/mg proteinから0.36pmol/min/mg proteinになったのみで、有意な変化がみられなかったのに対し解離定数(K_d)は21nMから116nMへと約5倍以上大きい値となっていた。 2)初代培養肝実質細胞への取り込みに対する血漿タンパクによる抑制的影響は、α-globulinにおいてalbuminより強く認められたが、分画ヘパリンの分子量を16KDa(高分子量ヘパリン)から7KDa(低分子量ヘパリン)へと低下させると、タンパクとの相互作用の低下と共に、取り込みに対する抑制的効果も低下した。低分子量ヘパリンではタンパクと結合していない遊離形のみが取り込みに関与するとみられるのに対し、高分子量ヘパリンでは遊離形だけでなくタンパクとの結合形も見かけ上取り込まれるという結果がえられているが、同様の傾向がラットKupffer細胞における取り込みにおいても認められた。これらは、ラット肝への分画ヘパリンの取り込みにprotein-mediated transportが関与していることを強く示唆するものである。
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