研究概要 |
1 5配位ニトロシルヘムのモデル錯体Fe(TMP)^<15>NOのトルエン溶液のESRスペクトルを温度範囲10〜380Kで測定した。ただし、TMP=テトラメシチルポルフィリンである. 2 スペクトルは低温域における斜方対称型(10〜120K,g_1≠g_2≠g_3)から,軸対称型(120〜200K,g_1=g_2≠g_3)を経て,高温域における等方型(200〜380K,g_1=g_2=g_3)へと大きく変化した。 3 分子全体の回転運動(R_1)とNO軸配位子の分子内回転運動(R_2)の両者を考慮したスペクトルのシミュレーション(Stochastic Liouville Method)により,全温度域におけるスペクトルの変化の定性的な理解が得られた。 4 R_2(軸配位子の分子軸のまわりの90°ジャンプ)のみを考慮したModified Bloch Equationsによる方法は,斜方対称型から軸対称型へのスペクトル変化を説明し,Stochastic Liouville Methodによる結果とよく調和した。 5 高温域(200〜380K)では,R_1とR_2はともに速い。温度が下がると,R_1は200K付近で遅くなり凍結する。R_2は120K付近で遅くなるが,40Kぐらいまでは認められる.現在,全温度域における定量的な解析法を検討中である。
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