研究概要 |
神経伝達物質である5-ヒドロシキインドールアミンやカテコールアミン類の脳内in vivo計測は、感情障害などの脳神経科学研究、脳機能改善薬の作用機序の解明や薬物療法の評価に重要である。平成8年度では、脳内のセロトニン(5HT)及びノルエピネフリン(NE)の用手法による基本的微小透析HPLC蛍光検出法を開発した。平成9年度では、5HTやNEと同様に脳機能研究に極めて重要なドパミン(DA)を加えた3種のアミン類の分析法の設定に成功した。これは、微小透析によりラット脳の各部位(大脳、海馬、松果体、視床下部など)から抽出した3種のアミン類をベンジルアミンにより選択的に蛍光誘導体化し、マイクロボアHPLCで分離後、蛍光検出することに基づくものである。さらに、9年度において、この基本的計測法の誘導体化及び注入法を自動化し、日常分析に使用しうるシステムの構築に成功した。このシステムの有効性を実証するために、ラットに薬物(デシプラミン、イミプラミン、メタンフェタミンなど)投与あるいはストレス負荷(強制水泳、高カリウム)し、脳内アミン類を経時的にモニタリングした。ラットの挙動とアミン類の値との相関を求め、脳機能に関する種々の新しい知見を得ている。 本システムは高感度かつ高精度であり、脳内の3種のアミン類(NE,5HT,DA)を高分解脳(2分間ごとの脳内アミン値を計測可能)に同時測定することを初めて可能とした。本システムは、脳機能研究や脳機能改善薬の開発に大きく貢献できるあろう。
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