ラムダフ-(λfoo)ファージのpV蛋白質をコードする遺伝子の3′末端側にBPAレクチン遺伝子をつなぎ、ファージの足にBPAレクチンを発現させた。レクチン分子は、組換体ファージあたり1〜2分子発現していることが明らかになった。次に、BPAレクチンの糖結合部位をコードしている遺伝子を、化学合成したランダムなオリゴDNAの混合物によって組み換え、レクチンライブラリーとした。このライブラリーをパッケージングをした後、大腸菌TG1に感染させ、レクチンライブラリーをファージに発現させた。このファージライブラリーをELISAプレートにコートしたガラクトースBSA、マンノースBSA、フコースBSA、N-アセチルグルコサミンBSA、N-アセチルガラクトサミンBSAによってそれぞれの糖に結合するファージをパニングによって選別を行った。4〜5回のパニングによって90%以上のファージがそれぞれの糖と特異的に結合するものが単離できた。次に、癌細胞に特異的に結合するレクチンを発現しているファージの単離を試みた。ヒト大腸癌細胞株DiFiをグルタルアルデヒドで固定化した後、この細胞に結合するファージを上と同様の方法によって選別した。ここで単離されたファージのクローンは大腸癌細胞DiFiをシアリダーゼ処理すると結合せず、この細胞のシアル酸を含む糖鎖に結合しているものと予想された。
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