レギュカルチン(RC)の肝細胞核RNA合成に対する作用について調べた。その結果、核RNA合成はCa^<2+> (1-10μM)添加により増大されたが、この増加はRC (0.1-1.0μM)の存在により完全に抑制された。また、RCの効果はCa^<2+>非存在下でも著しく発現された。なお、肝再生時の肝細胞増殖時における核RNA合成活性もRC添加によって阻害されることを明らかにした。 ラット肝臓と同様にヒト肝癌細胞(HepG2)でもRCmRNAとその蛋白質が発現されていることを見出した。HepG2細胞培養系ではRCmRNA発現に対するホルモン(インスリン、エストロゲン、カルチトニン)の効果は見られなかった。 マウス肝臓のRCのcDNAをクローニングした。マウスRC遺伝子の塩基配列とアミノ酸組成は、ラットのそれの94%のホモロジーがあった。マウス肝RCmRNAの発現はCa^<2+>の腹腔内投与によって増大された。肝のRCmRNA発現は生物種によらずCa^<2+>によって調節されることを明らかにした。 ラット肝臓には、RC遺伝子(DAN)の転写開始部位の5'上流に臓器特異的なDNA結合蛋白質(因子)が存在することをゲルシフトアッセイ法によって実証した。このRC遺伝子結合蛋白質は、RCmRNAが発現している肝臓、腎臓、HepG2細胞で見られたが、RCmRNA発現をしないひ臓、心臓、脳では存在しなかった。 以上のように、レギュカルチンの遺伝子発現とその調節に関する基礎的知見が見出された。
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