研究概要 |
ラット虹彩に存在するムスカリン受容体サブタイプのmRNA発現量を、脳等からクローニングされたそれぞれの遺伝子の塩基配列を基に適当なプライマーを作成し、RT-PCR法を用いて検討した。m1,m2,m3,m4及びm5のmRNA量を半定量的に検討した結果、虹彩にはm2,m3,m4が多く、m1,m5は少ないことが明らかとなった。特にm4のmRNA量は他の平滑筋と比較して虹彩に多いことが推定された。さらに虹彩でのm2,m3,m4のクローニングをRT-PCR法により行った。その結果、アミノ酸配列でm2は心臓のものと9個(ただしゲノム由来のもとは100%相同)、m3は脳のものと3個異なっていた。またm4は脳のものと100%相同であった。さらに虹彩平滑筋に対する副交感神経除去効果の機序を検討するため、RT-PCR法を用いて毛様体神経筋を除去したラット虹彩での各種ムスカリン受容体サブタイプのmRNA発現量の変化を検討した。その結果、これらのmRNA量には顕著な変化の無いことが示唆された。また、画像解析により虹彩散瞳筋の平静時の細胞内Ca^<2+>濃度は、静止時緊張を持たない縮瞳筋や他の平滑筋に比べ高いことが明らかとなった。ムスカリン受容体刺激により細胞内Ca^<2+>濃度の低下が生じることが明らかとなったので、弛緩はこの機序によるものと推測される。副交感神経除去した虹彩散瞳筋ではムスカリン受容体刺激により細胞内Ca^<2+>濃度減少も弛緩も生じないことも明らかとなった。
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