【モルモット血漿中のSe蛋白質の性状】モルモットの血漿中glutathione peroxidase(GPx)活性及びSe濃度は、他の動物種と比べて大きな差がないことを見いだし、血漿型GPxの精製を行った。カラムクロマトグラフィーにより最終的に得られた蛋白質はSDS-PAGE上で23kDaの単一のバンドを示し、Seを含んでいた。peptide mappingにより、部分アミノ酸配列を決定したところ、既知のラット血漿型GPxと高い相同性を示した。また、human pGPx cDNAをプローブとしてNorthern blot分析を行ったとこ、この遺伝子の主な発現組織は腎臓であることを見いだした。一方、GPx活性を持たない分子量52kDaのSe蛋白質がモルモット血漿中に存在していたので、その性状を解析した結果、ヘパリン結合性を持ち、^<75>SeO_3^<2->投与後に迅速に標識される、等のラットselenoproteinPと共通する性質を持っていた。 【モルモット組織中のSe蛋白質の性状】モルモットは肝臓や腎臓においてGPx活性がほとんど検出できないが、Se濃度は決して低くない。そこで、^<75>SeO_3^2をモルモットに投与し、各組織のホモジネートをSDS-PAGEで分析することにより、どのような蛋白質が^<75>Seで標識されるかを調べた。その結果。モルモット肝臓中の主要な^<75>Seのバンドは18KfDaのPHGPxと同じ分子量の位置に見いだされた。そこで、モルモットの肝臓、腎臓、精巣のPHGPx活性を測定し、マウス、ラットと比較したところ、大きな種差は認められず、また、肝臓、腎臓より精巣で活性が高いという共通の傾向が認められた。 以上のように、本年度の研究により、cellular GPxのほとんど発現していないモルモットにおいても、血漿型GPx、selenoproteinP、PHGPxは発現していることが示唆された。
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