我々は、変性した脂質がマクロファージに蓄積されると、マクロファージが分裂、増殖する事を見いだし、発表してきた。変性脂質がスカベンジャー受容体を経て、血管壁のマクロファージ内部に取り込まれ、その刺激によりマクロファージが分裂し、多数の泡沫細胞となって蓄積する事が、動脈硬化成立機序に重要な意味をもつと考えられる。 一方、マクロファージは炎症などに関わるサイトカインを放出したり、各種サイトカインによりその機能が制御を受けていることが知られている。すなわち、マクロファージが関与する動脈硬化巣も、各種サイトカインによりその病巣は影響を受けている可能性が考えられた。 従って、マウスのマクロファージを用い、過酸化や化学修飾を受けたリポ蛋白、リン脂質などがスカベンジヤ-受容体に取り込まれる事により、マクロファージの増殖・泡沫化を誘導する系に、サイトカインを共存させ、その効果を調べた。炎症性サイトカインとして、インターフェロン_γ、TNFを用いたところ、増殖が促進された。一方、抗炎症性サイトカインとしてインターロイキン-4、10、TGF-βなどを用いたところ、増殖の抑制が観察された。 さらにスカベンジャー受容体の関与の程度を明らかにするために、各種サイトカインの有無によりスカベンジャー受容体のmRNA量がどのように影響を受けているかを調べたところ、活性と相関した。
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