てんかん欠神発作発現に重要な役割を演ずる脳部位の1つである大脳より神経細胞初代培養系を調製し、欠神様発作症状を誘発させることが示されているγ-ヒドロキシ酪酸(GHB)の核内cyclic AMP responsive element(CRE)およびactivator protein 1(AP-1)DNA結合活性に及ぼす影響について調べ、これまでマウス小脳顆粒細胞初代培養系で検討したGHBの両DNA結合活性に対する作用と比較した。マウス大脳神経細胞初代培養系において、核内CREおよびAP-1DNA結合活性は、細胞を1mMGHBまたは1μMバクロフェンで60分間処置することにより上昇した。^3H-バクロフェンを用いた受容体結合実験により、マウス大脳初代培養系にGABA_B受容体が存在すること、およびGHBは^3H-バクロフェン結合を阻害することを確認した。マウス小脳顆粒細胞初代培養系において、核内CREおよびAP-1DNA結合活性は、GHBの処置により上昇し、これら両DNA結合活性の上昇は、GABA_BアンタゴニストであるCGP35348およびCGP55845により拮抗されることを昨年度明らかにしたが、本年度の結果より、小脳顆粒細胞初代培養系のみならず、大脳初代培養系においても、GHBが、GABA_B受容体を介し、核内CREおよびAP-1DNA結合活性を上昇させることが示された。また、昨年度、小脳顆粒細胞初代細胞系において、GHBが、GABA_B受容体を介し、細胞内貯蔵部位からCa^<2+>を遊離させ、このCa^<2+>動員が核内CREおよびAP-1DNA結合活性上昇に重要な役割を演じていること示したが、今後、大脳初代培養系におけるGHBによるCREおよびAP-1DNA結合活性上昇機構の詳細についてCa^<2+>の関与を中心に検討する予定である。
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