研究課題/領域番号 |
08672546
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研究機関 | (社)北里研究所 |
研究代表者 |
山田 陽城 社団法人北里研究所, 東洋医学総合研究所・基礎研究部, 部長 (60096691)
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研究分担者 |
矢部 武士 社団法人北里研究所, 東洋医学総合研究所・基礎研究部, 研究員 (40239835)
清原 寛章 社団法人北里研究所, 東洋医学総合研究所・基礎研究部, 室長 (70161601)
鳥居塚 和生 社団法人北里研究所, 東洋医学総合研究所・臨床研究部, 副部長 (60135035)
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キーワード | アルツハイマー病 / 加味温胆湯 / ChAT / NGF / 遠志 |
研究概要 |
本研究では抗痴呆作用を有する漢方薬を見い出すこと、またその作用メカニズムを明らかとすることを目的として検討を行い、加味温胆湯という13種類の生薬から構成される漢方処方が神経栄養因子様のアセチルコリン合成酵素(ChAT)活性増加作用を有することや、種々の痴呆モデル動物(スコポラミン投与ラット前脳基底核破壊ラット、老齢ラット、および卵巣摘出ラットなど)の低下した記憶保持能を経口投与で改善することなどを明らかとした。また老齢ラットや培養アストログリア細胞を用いた解析から、加味温胆湯がNGFやBDNFなどの神経栄養因子類の産生を誘導することを明らかとした。さらに細胞内部情報伝達系や転写調節系を指標とした解析から加味温胆湯のChATやNGFの誘導にcAMP-PKA経路の活性化やプロトオンコージンの1種であるc-fosの誘導が密接に関与することなどを明らかとした。また加味温胆湯の薬理作用発現に構成生薬の遠志、、その配糖体成分(オンジサポニンなど)及びその代謝産物(シナピン酸)などが重要な働きをすることが示唆された。 以上により、加味温胆湯はコリン作動性神経細胞に対する直接的な神経栄養因子様作用によりChATのup regulationを促進し、さらにはNGFやBDNFなどの神経栄養因子そのものの発現を増加させる作用を有していることが明らかとなり、これらが総合的に働くことによって痴呆モデル動物の記憶保持能を改善させる可能性が示唆された。
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