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1996 年度 実績報告書

血管内皮細胞の機能発現と情報伝達機構の解析

研究課題

研究課題/領域番号 08672553
研究種目

基盤研究(C)

研究機関(財)東京都老人総合研究所

研究代表者

山本 清高  東京都老人総合研究所, 細胞生物学, 主任研究員 (90073022)

キーワード血管平滑筋細胞 / 細胞増殖 / 表現型移行エラスチン / コラーゲン / 血管壁障害 / 内膜肥厚 / エラスチン
研究概要

1.生体内間質細胞の分化状態をよく模倣している三次元培養下での血管平滑筋細胞の機能発現を調べた。ウサギ血管中膜より単離した平滑筋細胞はIII型コラーゲンゲルによりI型コラーゲンゲルをよく収縮するが、この細胞の表現型移行に対する両コラーゲンの効果に差異はない。I型及びIII型コラーゲンゲル中の平滑筋細胞は、増殖因子存在下で収縮型(G0期)から合成型(G1B期)に移行したが、表現型の移行は二次元培養下に比べ明らかに遅れていた。また細胞はコラーゲンゲル内ではほとんどDNA合成を開始することが出来ず、10日後でも増殖することが出来なかった。これらの結果は、コラーゲンの型は血管平滑筋細胞によるゲル収縮には重要であるが、表現型の移行や細胞増殖に対してはコラーゲンの線維構造(二次元であるか三次元であるか)の方がもっとcriticalであることを示している。
2.細胞外マトリックスの形成と血管平滑筋細胞の増殖は、血管傷害後の内膜肥厚の形成に関与する二つの重要な因子である。そこで、ウサギ頚動脈内皮をバルーンによる内膜剥離を行った後、四週間に渡り内膜肥厚の形成過程を観察した。平滑筋細胞の増殖はPCNA及びKi-67の免疫染色により、トロポエラスチンmRNAの発現はジゴジゲニン標識プローブを用いたin situ hybridization法により、またエラスチン産生はresorcin-fuchsin染色により同定した。内膜障害一週間後、トロポエラスチンmRNAのシグナルは内膜にかすかに認められた。この時、平滑筋細胞は内膜に遊走し、肥厚した内膜のいたることろで細胞増殖が観察された。二週間後になると、内膜肥厚部の深層にトロポエラスチンmRNAの強いシグナルが明らかに観察され、四週間後では強いシグナルは、二週目の深層から内膜肥厚部の表層移った。resorcin-fuchsinによるエラスチン染色の結果は、トロポエラスチンmRNAの発現とよく相関した。一方、増殖細胞のマーカーであるPCNA及びKi-67による免疫染色の結果は、トロポエラスチンmRNA及びエラスチン産生は内膜肥厚部で増殖期を終えて静止期に入った平滑筋細胞に限定して増加することを示していた。これらの結果を総合すると、血管壁傷害後の修復の過程では、肥厚内膜の平滑筋細胞によるエラスチン合成及びトロポエラスチン遺伝子の転写は極めて厳密に制御されており、増殖期を終了した平滑筋細胞の近傍に限定されているものと考えられる。

  • 研究成果

    (6件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (6件)

  • [文献書誌] M.Yamamoto: "Retardation of the phenotypic transition of rabbit arterial smooth muscle cells in three-dimensional primary culture" Exp.Cell Res.225. 12-21 (1996)

  • [文献書誌] M.Aoyagi: "Early development of intimel thickening in superficial temporal atreries in patients with moyamoya disease" Stroke. 27. 1750-1754 (1996)

  • [文献書誌] T.Satoh: "Analysis of chromosomal alterations by Laser-Scan Karyotyping" Cytometry Res.6. 5-8 (1996)

  • [文献書誌] M.Aoyagi: "Smooth muscle cell proliferation,elastin formation,and tropoelastin transcripts during the development of intimal thickening in rabbit carotid arteries after balloon denudation" Histochem.Cell Biol.107. 11-17 (1997)

  • [文献書誌] M.Fujiwara: "Enhanced protection against peroxidation-induced mortality of aorta endothelial cells by ascorbic acid-2-O-phosphate abundantly accumulated in the cell as the dephosphorylated form" Free Radical Res.(in press). (1997)

  • [文献書誌] M.Yamamoto: "Changes in osteopontin mRNA expression during phenotypic transition of rabbit arterial smooth muscle cells" Histochem.Cell Biol.(in press). (1997)

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公開日: 1999-03-08   更新日: 2016-04-21  

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