今年度は1.人蔘サポニン、ジンセノサイドRg_3の副腎髄質細胞からのカテコールアミン分泌抑制機構と2.人蔘サポニン画分の副腎皮質細胞コルチゾール合成に対する影響を検討した。 1.ジンセノサイド(G)Rg_3の牛副腎髄質細胞からのカテコールアミン分泌抑制機構 GRg_3は、アセチルコリンによる副腎髄質細胞からのカテコールアミン分泌を濃度依存性(1-100 μM)に抑制したが、高K^+刺激による分泌にはまったく影響しなかった。また、この阻害は完全な可逆性を示さなかった。GRg_3は、アセチルコリンによる細胞へのNa^+及びCa^<2+>流入も抑制した。一方、このジンセノサイドは高濃度で、ヒスタミン、ブラディキニン、アンジオテンシンII、ニュウロテンシンによる細胞からのカテコールアミン分泌を抑制した。以上の結果は、ジオール系サポニンのGRg_3がトリオール系サポニンと同じようにニコチン性アセチルコリン受容体に作用し、カテコールアミン分泌に影響を与えていることを示している。しかし、トリオール系サポニンがニコチン受容体に選択性があったのに対し、ジオール系は他の受容体あるいは細胞膜そのものにも影響するものと考えられる。 2.サポニン画分の牛副腎皮質細胞コルチゾール合成に対する影響 前年度の研究でGRg_2やGRb_2がACTHによる副腎皮質細胞のコルチゾール合成になんら影響しなかったことを報告したが、今回、原点に返り、すべてのサポニンを含んでいるサポニン画分を用い、コルチゾール合成に対する影響を検討した。その結果、サポニン画分がACTHによるコルチゾール合成を抑制することが分かった。現在、どのジンセノサイドがその効果を発揮しているのか、作用メカニズムも含め検討中である。 また、人蔘サポニンの抗ストレス作用を動物実験で調べている。
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