研究課題/領域番号 |
08672579
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研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
木村 利人 早稲田大学, 人間科学部, 教授 (80195388)
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研究分担者 |
赤林 朗 東京大学, 大学院・医学系研究科, 助手 (70221710)
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キーワード | アドバンス・ディレクティブ / 事前指示 / 国際比較 / 質問紙調査 / 医師 / ホスピス / ターミナル・ケア |
研究概要 |
昨年度行った一般健常人への調査をもとに、今年度は某大学病院において医師に対する意識調査を行った。有効回答は72部で、8割以上の医師が患者に何らかの形で事前の意志表示を示しておいてもらいたいと回答した。意向を残しておいてもらいたい内容は、終末期の治療方針、病名の告知、臓器提供の意志などについてが多かった。また、意志表示の方法については書面によるものを望むものが9割弱で、一般健常人の多くが口頭でよいと回答したのと対照的であった。また、だいたいとの方針を伝えておき、代理の決定者は家族または親戚とし、法的整備の必要性はあまり強く意識しない、という回答が多く認められた。今後、日本において書面による事前指示が必要な場面は、「残した意向に厳密に従ってほしいと患者が思う場合」「医療従事者側が、事実の意向であることを確認するために書面が必要と考える時」などがあげられよう。 さらに、各疾患別患者の事前指示のあり方を検討するために、ホスピス・緩和ケアを例に取り、ホスピス入院中の末期患者への構造化面接(N=34)およびホスピス・緩和医療に携わっている医師・看護婦計38名に自記式の質問紙調査を行い、アメリカ、ドイツでの調査と比較した。医療従事者への調査では、ホスピス・緩和ケアの場面では、事前の意志表示は必要なものと捉えており、国際比較でも大きな意識の差はなかった。このことは少なくともホスピス・緩和医療の場面において、いわゆる「international culture of medicine」が発展してきていることを示唆するものであろう。「事前指示」のありかたも各文化である程度の差があるものの、第一義的には患者の意向の尊重、第二義的には、医療者側の行為の保護(法的な面を含む)や家族や医療者側が判断する際の心理的負担の軽減、になるのであろうと考察された。
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