研究課題/領域番号 |
08672580
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
医療社会学
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研究機関 | 東京医科歯科大学 |
研究代表者 |
眞野 喜洋 東京医科歯科大学, 医学部, 教授 (70014339)
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研究分担者 |
中山 徹 東京医科歯科大学, 医学部, 助手 (80164367)
芝山 正治 駒沢女子大学, 人文学部, 助教授 (80107250)
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研究期間 (年度) |
1996 – 1997
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キーワード | 酸素中毒 / 高気圧酸素 / ESR装置 / ラジカル(Hydroxyl radical) / SOD(Superoxide dismutase) |
研究概要 |
HBO(高気圧酸素療法)は、1060年Beremaらが提唱した'life without blood'の概念により、再認識され、脚光を浴びて普及され、今日では我が国においても200余の病院等で利用されて虚血性疾患等に対し、その絶大な効果を発揮している。しかし、HBOに伴う副作用としての酸素の毒性に関しては、古典的な急性中毒(Paul Bert効果)や慢性中毒(Laurain Smith効果)のみしかとらえられておらず、HBOに基因するラジカル酸素種の生体に及ぼす影響に関しての検討が必要である。 本研究は酸素毒性の臨床所見出現以前に酸素ラジカル種が変動することに着目し、試料に血清を用いることで、臨床所見発現以前に酸素による毒性の発現を経時的に予知することが可能であることから、HBOの使用回数(従来は20回を1ク-ルとする)の検討、HBOの負荷圧力及び酸素吸入時間の選択決定、疾患別のHBO手技の決定など、現在、経験的に行われているHBOの正確な利用基準を作製することができる。 1.電子スピン共鳴装置(ESR)の基礎的検討 SOD(Superoxide dismutase)活性測定に関してはESR法による測定法が十分に確立していないため、装置自体の再現性についても検討した。ESR装置の内部標準物質であるマンガン(Mn)の精度についてラジカル標準物質TEMPOL(4-Hydrox-Tempo)を用いて調べたところ、同時再現性が1.6%であった。また、ラジカル相対強度比については、同じく1.4%、2.2%と良好な結果が得られた。 現行でのSOD活性の標準的測定方法はCytochrome C法であるが、この方法と相関を示すNBT還元法との相関を調べたところ療法の間にはY=60.41+0.9355Xの回帰式が成り立ち、相関が認められた(r=0.82)。 2.動物を用いてのHBOの暴露実験及び経皮酸素分圧モニターによる抹消酸素分圧測定 ラット、マウス、家兔を用いて6ATA(絶対気圧)までの酸素暴露を行い、抹消部の酸素分圧を測定した。2.5ATA以上の環境圧力に達するとtcPo2の酸素分圧が1000mmHg以上を記録した。 動物を用いて行った実験で暴露圧力と滞在時間の関係については、マウスで3ATA環境下の5時間で全身けいれん状態が発現し、その後に死亡が確認され、圧力が増すに伴い死亡に至る時間は短縮した。 3.HBO利用基準の検討 高圧酸素暴露後の採血処理後の血清に対し、DMPO(5・5-dimethl-N-oxide)でtrapされたHydroxyl radicalを追跡することで経時変化を追い、HBO前の計測値に復するかどうかを調べた結果3.0ATA60分以上の酸素負荷は重大な障害を呈する危険性を有することが認められた。
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