まず、当該施設の病院情報システムから、処方、検査結果、病名登録の内容を、HL7-ASTM標準形式で出力できるシステムは構築した。これによって、オブジェクトデータベースにこれらの情報を1日1回自動で配信できるようになった。 一方で、薬剤、検査、疾患などについて、構造化を行なった。この際、通常使用されている各種コードは、それぞれの用途は独立であるのに、ある一つの属性だけでなく、他の様々な分類軸の概念が混合したものになっているがために、実用上不都合が生じていることがわかった。この問題を解決するには、ここで構築したオブジェクトデータベースで用いた、基本概念の構造化を、属性の継承機構とともに用いることが、最適である。 これらを用いて、毎日の患者情報のすべてを、構造化オブジェクトとして定義されたデータ構造に格納し、これに対して各種の検索を行なった。これは、オブジェクトデータベースを実運用データで利用した初のケースである。膨大な情報量であったが、通常の検索では瞬時に結果が得られた。一方、分類の上位概念での検索(対象が多くなる場合)の場合は、検索が終了するまでにかなりの時間を要した。これを改善するためには、オブジェクトの属性として、検索のためのリンクを持たせることが有効であった。 来年度は、病名情報の構造化オブジェクトでの表現と検索、実用的な処方チェックなどを目指し、他施設との連携を図ることとしている。
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