研究概要 |
1.目的 処方、検査結果、疾患名など、病院情報システムの根幹をなすデータについて、オブジェクト分析をおこない、これら実データをオブジェクト指向データベースに格納する。これを用いて、「○○系薬剤の投与歴の有無」といった、抽象的な概念での検索を可能とし、インテリジェントな診療支援システムを構築するための技術的問題点を解決する。 2.方法と結果 まず、処方、検体検査結果、疾患名について、これらをどのような視点から分類し、構造化オブジェクトとするかについて検討し、処方は薬効、投与経路、薬態について、検体検査は検査方法、検体種別について、疾患名は部位、病態について、それぞれ注目すればよいことが明らかになった。 次いで、浜松医科大学の膨大な実診療情報のうち、処方、検体検査結果、疾患名登録内容をHL7形式を用いて、全患者についておて病院情報システムからオブジェクト指向データベースに送信した。これほど広範囲な日常診療データを、こういった標準化された形式で配信したケースは、当研究が初めてである。その様に、ICD-9-CMベースである当院の病名情報を、SNOMED形式に変換するプログラムを、消化器疾患について作成hし、ICD,SNOMED双方の問題点を明らかにした。 更に、抽象概念での検索については、おおむね満足な結果が得られたが、やはりこういった膨大な項目の中からの検索には本質的に不可避であるが、上位過ぎる概念での検索(例えば「心疾患」)すると、選択肢が組み合わせ的発散を起こし、実時間で検索結果が得られないことがあった。これに対しては、検索の方向(上向き/下向き)をレベルに応じて返ることや、実運用ではある程度まとまった数の検査結果ごとに表示し、続けるかどうか確認するといっったことが考えられる。 3.波及効果 HL7という標準化されたデータ形式が利用可能であることを示されたので、今後他施設でも利用され始めるであろう。また、当研究の成果は、今後の診療緑の電子化や、診療支援システムの構築の、基盤となるであろう。
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