研究概要 |
愛知県の過疎モデル地域に在住する寝たきり,準寝たきり高齢者に対する身体・精神機能評価とリハビリテーションシステム構築上の必要事項について検討した. 結果は以下の通りであった.1.モデル地区在住の寝たきり,準寝たきり高齢者の34.2%に在宅リハビリテーション実施の希望があった.2.研究に参加した理学療法士,作業療法士の勤務先は医療機関が67%,教育関連施設が20%,福祉施設が10%,その他が3%であった.3.寝たきり,準寝たきり状態になってからの平均期間はリハビリを希望した対象者が3.0±2.0年,希望しなかった対象者では6.6±5.5であった.長時間寝たきり状態にある対象者は在宅リハビリテーションの実施を希望しなかった.4.障害老人の日常生活自立度(寝たきり度)判定基準では,リハビリを希望しない対象者のほうが自立度が低い傾向があった.5.老齢者の総合機能評価では,リハビリを希望しない対象者は排泄(p=0.03),入浴(p=0.03),聴力(p=0.03),尿失禁(p=0.02)の項目で有意に低下していた.6.改訂長谷川式簡易知能評価スケールでは,リハビリを希望した対象者のほうが優れていた(p=0.03).7.在宅リハビリテーションの介入による明らかな効果は認められなかったが,日常生活自立度(寝たきり度)判定基準では,リハビリ群で2段階改善した症例が2例あった. 今回の研究より,地域リハビリテーションの構築のためには,その核となる理学療法士,作業療法士の必要性と専門性を認め,コーディネータとして役割を担うためにもその常勤化が必要と考えられた。
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