研究課題/領域番号 |
08672587
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研究機関 | 佐賀医科大学 |
研究代表者 |
橋本 惠美子 佐賀医科大学, 医学部, 助教授 (30249627)
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研究分担者 |
沖 壽子 佐賀医科大学, 医学部, 助教授 (50274585)
正野 逸子 産業医科大学, 産業保健学部, 助教授 (80280254)
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キーワード | 在宅 / 末期医療 / ケアの評価 / 訪問看護 / 介護 |
研究概要 |
本研究は、在宅で末期医療を受ける患者へのケアについて、ケアを受ける側と提供する側の両者を対象に、医療・看護・福祉の三つの側面から評価するものである。平成10年度は、訪問看護婦、保健婦、医師に対して調査を行った。今回は、患者の家族と、訪問看護婦、保健婦、医師による療養状態の評価の一致度からケアを評価した結果を中心に報告する。分析は、家族32事例のうち看護婦・医師から療養評価の回答が得られた13事例とした。ケアの評価の視点は、正野らが作成したQOL状態の評価視点に基づいた。 家族、看護職、医師間における療養評価の一致度は、看護職と医師間では53.8%、家族と医療従事者間では61.5と比較的良かった。療養経過におけるQOLは、療養を開始した時期の患者の状態にも影響を受けると考えられ、約40%が経過に応じて低下していた。QOLを維持できていたのは、心理的安定では「情緒的安定」・「選択権の行使」、身体的快適では「睡眠」・「疼痛」、日常生活の充実では「清潔」・「食事」・「排泄」であっ。次に、療養時期別に患者の苦痛や介護上の困難(以下、問題)に対する看護職・医師のケアについて評価した。問題のとらえ方は家族と医療者間では異なり、また、対応をしている職種は問題としてとりあげた職種だけとは限らなかったが、問題は比較的解決されておりQOLも良かった。しかし、問題の種類によっては、対応した職種が問題解決へ導くことが困難な場合がみられた。QOLが保たれていたのは、概して介護体制があり、社会資源の導入時期や利用量が適切でしかも十分に機能している事例であった。以上から、療養状態を簡便に評価する指標を用いて的確に判定することで医療・看護・福祉職間における患者の療養評価の一致度を高め、その結果、医療・看護・介護・福祉職による介護体制づくりへのかかわりや社会資源の効果的・効率的な提供ができるものと考える。
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