研究概要 |
本研究では患者のQOLを測定するための調査票であるQOL20(Yamaoka et al.1994)を用いて、QOL測定での大きな問題点となり得る患者の性格特性の影響について実証的に検討し、患者のQOL構築過程のモデル化を行うことを目的とした。具体的には患者のQOL20のスコアが性格特性のタイプにより異なるかについて性格特性を測定し、その影響を検討した。 調査内容はQOL20調査票、EPQ調査票(Sigehisa et al,1987)、患者の病状に関連する項目である。対象はがん患者および鍼灸治療受診者、健常人である。調査方法は初回時にQOL20、EPQ調査票によるQOLと性格特性に加えて患者の病状の測定を行った。回答を得られたもののうち3カ月後以降に再度QOL20を測定した。以上の結果に基づき、性格特性の影響、病状とQOLの変化を検討した。 本研究の結果、QOL20では一般人に比べて患者の方が低い(悪い)ことが示唆された。他方、性格特性の影響に関しては、患者群、一般群を問わず、耐性のないタイプに比べ、耐性のあるタイプで高めに出ていることが明らかになり、性格特性がQOL測定の際の交絡要因になる可能性が示唆された。したがって今後の研究を行う際には性格特性の影響を考慮することが重要であると考えられた。
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