血友病以外の6名は、いずれもエイズを発症している。職業は、退職または自営業等である。最近抗HIV剤の有効性が確認され、職場でのエイズ対策はますます重要になると考え、産業医および健診機関医705名に対しエイズ対策に関するアンケート調査を実施し、有効回答率は46.5%である。事業場の種類では、製造業が62.5%で、規模では1000人以上が61.8%と最も多い。海外派遣者は65.4%、海外からの従業員は42.3%の事業場に存在する。健康管理部門は91%にあり、そのうち産業医は281、保健婦は174、看護婦は221、カウンセラ-は58事業場にいる。61.8%が1000人以上の大規模事業場であることを考えると、カウンセラ-は他の職種に比較しても少ない。124事業場で講演会、パフレット配布、ビデオ鑑賞、研修会等のエイズ対策を実施しているが、毎年実施は70事業場である。さらに、エイズ対策委員会の設置は26事業場、エイズ対策マニュアル作成は39事業場、エイズ抗体検査の実施は207事業場である。HIV感染者の経験は5事業場(すべて従業員1000人以上の製造業)のみである。その際、プライバシーが十分に守られているのは4事業業であり、1事業場はわからない。採血等HIV感染者/エイズ患者に接した経験は製造業で3件、健診機関で1件ある。HIV感染事故の相談窓口は137事業場にある。HIV発症予防剤の常備は医療関係・製造業の8事業場である。 以上、エイズ対策については、一部の事業場を除き、具体的対応の詳細は明らかでない。特に、中小規模事業場でのエイズ対策が送れており、今後もHIV感染者/エイズ患者の増加が予想されていることから、HIV感染者の早期治療、カウンセラ-の育成などエイズ対策が積極的に推進されることが望まれる。事業場のみで対応困難な場合、専門医等との連携を日頃から構築しておくことも重要と考える。
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