研究概要 |
平成8年度は、マラリア原虫のRT-PCR法の基礎技術を確立するために、10株の培養マラリア原虫を用いて、マラリア原虫からtotal RNAの抽出法およびRT-PCR法について検討をした。現在、我々はin vitroでこれらのP.falciparumを培養中であり、このin vitro培養マラリア原虫感染赤血球からマラリア原虫のtotal RNAの抽出を試みた。方法は、感染率5%から15%の培養マラリア原虫感染赤血球500μlをDEPCを含む1.5%サポニン・PBSで溶血後、AGPC法およびlsogen(ニッポンジーン社)を用いてマラリア原虫をホモジェナイズ後、total RNAを抽出した。なお、コントロールとして、500μlの正常人赤血球を同様に処理してtotal RNAを抽出し、これをコントロールとして用いた。このようにして得られたCRNAを95℃,5minで熱処理後、riverse-transcriptase(RT),RT buffer,RNase inhibitor,random primerを加え、25℃10min,37℃60min,95℃10minで反応させ、cDNAを合成した。このtotal RNAから合成したcDNAに、我々が開発したP.falciparumのrRNAに特異的なプライマー、DNTP mix,PCR buffer,Taqpolymeraseを加え、PCR(94℃15sec,50℃30sec,72℃30sec,30cycle)を実施した。なお、ここで使用されるPCRプライマーの特異性はすでに確認されている(Trans.Roy.Soci.Trop.Med.,1996,90,40-41)。PCRを実施後、その増幅産物をゲル電気泳動し目的とされる289bpのサイズのバンドと一致するかどうか調べた。この方法で、10株のin vitro培養P.falciparumからcDNA合成に十分なtotal RNAが得られることがわかり、RT-PCRで目的とされる289bpのバンドが全例に確認された。今年度で得られた結果を、Amr.J.Trop.Med.Hyg.(1996,54,162-163)に発表した。
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