研究概要 |
1.平成9年度は、前年度で確立されたマラリア原虫のRT-PCR法の感度および特異性を実際に患者血液を用いて調べ、その結果を従来の顕微鏡検査法の結果と比較検討することにより、マラリアの診断におけるRT-PCR法の有用性について評価した。方法は、前年度に開発したRT-PCR法を用いて、マラリア患者血液中のマラリア原虫の検出を試み、さらに、その結果を従来のギムザ染色による顕微鏡検査法の結果と比較検討した。その結果、16人のマラリア患者血液を用いてこの方法の感度および特異性を調べたところ、感度は患者血液0.5ml中0.3個までの原虫を検出することができた。また、特異性はギムザ染色による顕微鏡検査法の結果と比較して100%であることがわかった。今年度の研究に関連した結果を、Southeast Asian J.Trop.Med.Publ.Hlth.(28,432-433,1997)に発表した。 2.さらに、このRT-PCR法が、海外のマラリア流行地域の住民のマススクリーニングの診断法として応用できるかどうか確かめるために、マレーシア国立医学研究所(Institute for Medical Research)のDr.Noor Rain,Abudullahの協力によりマレーシアでも実施した。その結果、研究室で得られた結果と同様の成績が得られ、この方法が研究室内の診断法のみならず、野外のフィールドでも十分応用できることがわかり、今後、感度および特異性の優れたマラリア診断法として役立つものと考えられた。
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