研究概要 |
臨床検査としてリンパ球活性化を捉えるための新たなリンパ球活性化測定法として、細胞内pH(pHi)、血中可溶型CD8(sCD8),可溶型CD4(sCD4)の血中濃度とリンパ球数で補正したsCD8 or sCD4/cell、各リンパ球分画のCD45isoform発現について検討した。 1.フローサイトメトリーを用いたpHi測定:蛍光pH指示薬BCECFとモノクローナル抗体(CD4,CD19)の二重染色を行いFACScanを用いて、CD4^+細胞、B細胞のpHiを測定する方法を確立した。今後、正常人について基準範囲を求めるとともに、そのサブセットの中で最もactiveなpopulationのpHiとして、HLA-DR^+細胞のpHiを検討する。 2.sCD8/cell,sCD4/cellの測定:ELISAを用いて血中sCD8,sCD4値を求め、末梢血中のCD8^+リンパ球数およびCD4^+リンパ球数(/μl)でそれぞれ割ってsCD8/cell,sCD4/cellとした。sCD8/cell,sCD4/cellはリンパ球数の増減を考慮した補正値であり、より正確にリンパ球活性化を反映すると思われる。健常人について測定し基準範囲として0.41±0.05、1.4±0.1×10^<-2>の値を得た。 3.CD45isoformの検討:三重染色を行い、CD8^+,CD4^+細胞についてRA^+RO^-,RA^+RO^+,RA^-RO^+各細胞群の比率を求め、正常人について基準範囲を求めた。また各細胞群について比較検討し、リンパ球の活性化過程においてCD45isoformとともに細胞サイズ、活性化抗原や細胞接着分子の発現が変化すること、およびその変化の時期がそれぞれ異なることがわかった。
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