研究概要 |
平成8年度 1、ヒト凝固第VII因子(FVII)の機能研究を行うため、先天性FVII欠乏/異常症12家系30例について検索した2家系の発端者はcross reactive material (CRM)-例、10家系の発端者はCRM^+例であった。 2、SSCP法でCRM^+例はExon2、Exon4、Exon5に各1例、Exon8に4例の異常バンドを検出した。CMR-例には異常は検出されなかった。 Exon4の異常例は組織因子の違いによってFVII活性に差が見られた。この症例はFVII遺伝子の6055番目のグアニン(G)がアデニン(A)に置換した結果、FVII分子の79番目のアルギニンがグルタミンに変異した。本例は既に著者が報告した変異例と同じものであり、遺伝子組み換え型変異第VII因子と組織因子との相互作用は検討し(Biochem,33:14162,1994)。 平成9年度 1、Exon8の異常例については1例目が11514番目のシトシン(C)がチミン(T)に置換した結果、FVII分子の359残基のスレオニンがメチオニンに置換した。本症例はArbiniからの報告例(Blood,89:5085,1997)と同じ変異であった。2例目は11429番目のGがAに置換して、331残基のグリシンがセリンに変異した。これはZhengらの報告例(Blood Coag Fibrinol,7:93,1996)と同じ変異であった。3例目は11267番目のCがTに置換して、277残基のアルギニンがシステインに変異した。4例目は11482番目のTがGに置換して、348残基のヒスチジンがグルタミンに置換していることが明かとなった。 2、遺伝子組み換え型異変第VII因子を作成するため、HepG2細胞より得られたRNAからRT-PCR法によって第VII因子遺伝子のcDNAを作製した。第VII因子cDNAを発現ベクターPEE14GSに導入して、CIIO cellにトランスフェクションしてwild型遺伝子組み換えFVIIを発現した。ELISA法にて第VII因子の発現を確認した後、培養液中にビタミンKを加えて培養した。第VII因子除去血漿を基質として培養上清液中の第VII因子凝固活性を測定したところ、凝固活性を検出した。 3、wild typeの第VII因子発現と同様に発現ベクターPEE14 GSに導入すべく、塩基配列の分析によって得られた成績から変異型DNAを作製中である。
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