研究概要 |
平成8年度の研究はおおむね計画どうりに順調に進められて応分の成果を得た。主な成果は、次の通りである。1)リコンビナントプロテイン1を作製、PhospholipaseA2,PhosphlipaseC活性を抑制する機能を初めて明らかにした。2)精漿中にある主な蛋白成分の基準範囲を設定した。3)射精後の尿中濃度に及ぼす効果については、殆どの成分ことに精しょう中に多量に存在する成分については第一尿が高値となり影響を受けやすい。蓄尿一日目も影響を受けやすい。3)塩基性胎児蛋白が精漿中に多量に存在することを初めて明らかにした。またその構造は胎児から精製されたNativeなものと同一であることをWestern blottingで証明した。4)前立腺抗原の尿中動態変化について種々の検索を行った。尿中では遊離型のみから構成されており、午後高値となる日内変動があり、前立腺圧迫により増加を認める。一般的に測定の臨床的意義は高くないと考えられた。5)プロテイン1に対するモノクローナル抗体を用いて、前立腺および女性のSkene's glandに存在することを免疫組織化学的に証明した。引き続いて、塩基性胎児蛋白についても同様に検索予定である。6)プロテイン1については、種々のリコンビナントプロテイン1を作製、モノクローナル抗体の抗原認識部位の解析を行っている。今後機能との関連性を追求する際、添加実験等に利用する計画である。本年度の研究成果の一部は既に論文、学会発表しており、おおむね当初の計画に添って、進める予定である。
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