研究概要 |
本年度の研究も概ね計画通り、順調に進められた。Protein1については、共同研究者のZaviaciciが男性前立腺、女性前立腺に局在を免疫組織化学的に証明し、特に神経内分泌細胞に一致した局在を証明し、著者らのこれまでの研究仮説を裏付けた。また、著者らの作製した単一クローン抗体(未発表)を用いて、四十坊らが肺クララ細胞に局在を確認し、喫煙による血中濃度の低下が、肺胞洗浄液濃度の減少により、さらにこれがクララ細胞数の減少、ここでの産生低下に基づくことを免疫組織化学的に、直接証明した。Cystatin C、Basic fetoprotein,PSAはいずれも精漿中に多量に存在する成分である。Cystatin Cは、13.3kDaの低分子蛋白である。著者らが、本邦で初めて酵素免疫測定法を確立し、本蛋白の新しい糸球体濾過能(GFR)の優れたマーカー蛋白であることを示した。Cystatin Cは一定の割合で全身の細胞から産生され、他の成分と結合することなく、糸球体から濾過されるため、Crクリアランスで801/日ときわめて早期に糸球体機能の低下を反映して上昇することを明らかにした。Basic fetoproteinは種々の炎症疾患(腎結石、尿路感染症)、腫瘍疾患において尿中の増加を認め、非特異的炎症マーカーとして利用が期待された。PSAはこれまで、尿中に関しする動態が明らかでなっかったが、尿中では遊離型PSAから構成されことを証明した。基準範囲を設定、生理的変動、射精の尿中濃度への影響を示した。しかし、これまでのところ、尿中測定の臨床的意義は見出されていない。またCystatin C、Basic fetoprotein,PSAの精漿測定の意義は不明である。なお、ネフェロメトリー法により、主要尿蛋白質の小児、成人における基準範囲を同時に初めて設定した。
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