研究概要 |
昨年、ChEcDNAをDr Oksana Lockridgeの好意によりヒト正常ChEを含むpRc/CMVベクターDNAとして提供を受けた組み換えDNAを大腸菌に導入し、組換え体を確立した。ChEの発現は、ヒト胎児腎臓細胞(293;American Culture Collection CRL 1573)を用いて確認した。さらにL330I(nucleotide no 1201 T-→A)変異体を作成し、この変異を持つChEを含むpRc/CMVベクターの作成に成功した。 本年度は、wild typeと昨年作成したL330I変異ChEを含むプラスミドDNAをリン酸カルシウム法でトランスフェクションし、その後GENETICIN(Antibiotic G418)を培養液に添加する事によりセレクションした。発現したChEの活性測定の際には血清無添加培養液(SFRE 199-2)に置換して培養した。これら二種のChEの発現量を比較したところ、ChE活性は正常型233単位、変異型84単位と約1/3であった。DNは正常型85.7%に比し,変異型79.6%,FNは正常型76.2%に対し,変異型61.3%と低下していた。これらの結果はL330I変異のホモ接合体の血清中の性状とほぼ同様であった。コドン330におけるTTAからATAという一塩基置換のみにより、活性の低下・ジブカイン耐性・フッ化ソーダ耐性というF型の表現型を示すことが証明された。 これらの結果により日本人に多いL330I変異が日本人型のF型変異であると考えられた。
|