研究概要 |
我々は20年前からGC/MS分析なしには診断が困難な先天代謝異常症のハイリスク児に対する診断支援サービスを行ってきた。今回、日本医用マススペクトル学会と日本マススクリーニング学会合同で以下の試験研究を行った。即ち、尿の試料調製法を改良、簡略化し、6生月時に施行する神経芽細胞腫を除く21疾患の新生児マススクリーニング・パイロットスタディーを石川県下の4,588名の新生児を対象として行った。 そのスクリーニングの結果、1)α-ケトアンピン酸・α-アミノアジピン酸尿症1例、2)メチルマロン酸尿症1例、3)ハートナップ病1例、4)シスチン尿症8例、5)新生児一過性ガラクトース高排泄89名、6)新生児一過性チロジン症15名で、異常を認めたのは合計115例、全体の2.5%であった。このうち、1)、2)、3)については全て再現性を確認、4)については8例中3例に再現性を確認したので、代謝異常症は計6例で、6/4,588即ち1/765人の発見率であった。早産あるいはSFDの占める割合は5)で80%と高く、phydroxyphenylpyruvate dioxygenase活性の日令による急激な変化(上昇)を改めて裏付けるものであった。4試験機関全体では11,919名を対象とし、シトルリン血症、glycerol尿症を含む計8例を発見したので1/1,490名の発見率であった。 装置の特性や施設による差を排除した自動診断支援システムの確立には前処理の自動化、定量の自動化、化学診断の自動化の必要性があり、現在最終的な調整を行っている。 機器メーカー3社(のGC/MSの専門家)と4試験研究機関の担当者と合同で、1年間に3回の条件検討委員会を開催した。
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