本年度は、3年計画の本研究の初年度に当たる。老人介護の場について、マスコミを通じての報道が、どのようなことを根拠に住宅重視に傾いていったのか、在宅を重視することへの危惧はどの程度報じられたのか、読者欄などにみられる情報の受け手の反応にはどのようなものが取り上げられていたか、等について新聞記事からのデータベースを作ってきた。すなわち、過去10年間にわたる3大新聞(朝日新聞、毎日新聞、読売新聞)の縮刷版から、老人医療、老人福祉、家族介護等に関わりを持つと思われる記事を広範に選択し、各記事毎に、取り上げた内容、読者へのメッセージ、活字の大きさや紙面での位置どり、在宅重視への態度等について細かく分析してデータベース化している。分析・入力の過程で、新しい考え方や施策が打ち出された場合には、そのことに関する記事が短期間に集中する傾向が見られることがわかった。そこで、国のみならず自治体の行政施策や民間の新しい動きをまず把握し、それと対応させた記事の分析の必要性が大きいことを認識し、新たに3大新聞の社説のみに限って過去30年間の高齢化、老人医療、老人福祉に関する記事をデータベース化する作業も開始した。来年度は、社説から得られた結果に相当する必要な年代までさかのぼって縮刷版からの記事を収集すると同時に、テレビ報道についてもデータベース化を試みたい計画している。
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