昨年度に引き続き新聞の縮刷版からの老人医療、老人福祉、家族介護等に関わりを持つと思われる記事のデータベース化を2つの方法で継続した。一つは3大新聞の社説に限定したデータベース化、もう一つは朝日新聞だけに注目してあらゆる紙面の記事を対象としたデータベース化である。社説については老人医療、老人福祉、家族介護関係の記事の出現頻度、記事掲載の主眼、扱ったテーマなどについてであり、あらゆる紙面の関連記事を対象としたデータベースについては各記事毎に、取り上げた内容、読者へのメッセージ、活字の大きさや紙面での位置どり、在宅重視への姿勢等について細かく分析して入力している。そこからは新しい考え方や施策が打ち出された場合には、それに関連する記事が短期間に集中する傾向が見られ、読者の声欄にもそれに関連するテーマが平行して出現しているようであった。そのことから、読者の注意がそのテーマに引きつけられ、結果的に大きな影響を受け、読者の政策への態度形成がリ-ドされていることが予想された。同じ新聞でも紙面によっては取り上げる内容や論調の微妙な差が見られ、家庭欄、地方版などに特徴があり、紙面編集担当者の立場が反映されているものと思われた。平成8〜9年にかけては介護保健法に関連する記事の集中が見られたので、新聞がどのようにして世論をリ-ドしていったか併せて検証する。平成10年度は蓄積したデータベースを集計して数量化して示す。
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