研究概要 |
1.2年間の環境調査および環境改善指導により,病例MTは軽い喘鳴程度で吸入や入院を必要とするような発作はなくなった。病例NSは吸入を要する発作が週2〜3回は起きていたが,吸入の回数は減少した。しかし%FEV1.0は52〜79%であまり改善していない。 1)空気中の2.0μ,5.0μの微粒子(カビの胞子を含)数は10月よりも5月に多くなる傾向があった。 2)空中浮遊真菌の第1位はクラドスポリウム,第2位または第3位に酵母菌があげられた。総真菌数は浮遊微粒子と同様に5月に多くなる傾向が合った。 3)空中浮遊酵母叢はC.guilliermondii,Cr.albidus,R.glutinis,R.rubraほか3種であった。 4)塵埃中真菌は培地(PDA,DG18,Mycosel)によって検出できる菌が異り,酵母は第2〜3位であった。 5)スタンプアガ-法で清掃効果を調べたところ,水拭き,化学雑巾,掃除機は除菌効果があった。 6)MTのFVCは87年1.7Lから成長とともに順調にのび,96年7月3Lになった。FEV1.0%は過去2年間85〜95%と安定していた。NSのFVCは増加してきたが,FEV1.0%は52〜79%であった。PFR(最大瞬間呼気流量)は2年間で上昇してきている。午前より午後のほうが高かった。 1.2軒の喘息患者宅の空中から検出された,C.guilliermondii,Cr.albidus,R.glutinis,R.rubraはC.albicansと共通抗原性を有するアレルゲンであることが示唆された。 C.albicans RAST陽性血清(349検体)を用いてドットブロット法,ウエスタンブロット法および阻害試験によってC.albicansと他の病原性のあるCandida種(7種),空中酵母Cr.albidus,Cr.laurentii,R.glutinis,R.rubra,S.cereviciaeとの共通抗原性を調べた。C.albicansのマンナン蛋白はIgEレベルで12種の酵母と共通抗原性があることが明らかにされた。
|