研究概要 |
痴呆老人の問題行動の一つとして受け止められている徘徊行動を、運動という肯定的な側面に着目し、我々は徘徊行動の観察および健康レベルの測定を目的とした調査を行った。 対象は特別養護老人ホームに生活する徘徊行動を伴う痴呆老人66名(男性9名,女性57名)で、調査時期は平成8年7月〜9月に、計6ケ所の特別養護老人ホームに2名が宿泊して(2泊3日)調査を実施した。調査項目は,1日(6時〜20時)の歩数および歩行距離(2日間にわたり調査),骨密度および体脂肪,食事摂取量,対象者の概要等である。 調査の結果、1日の歩行距離の最高は16.17kmであった。1日の歩行距離が10km以上の者は4名おり、4名とも女性でその平均年齢は70歳であった。これら4名の骨密度は2名が正常範囲内、2名が正常より低い値であった。一方1日の歩行距離が1km以下の者は17名おり、男性2名、女性15名でその平均年齢は82歳であった。これら17名の骨密度は、男性2名と女性1名の計3名が正常範囲内で、他の14名は正常より低い値であった。歩行距離と骨密度の関連の詳細について、現在データの整理,まとめを行っているところであるが、男性9名のうち8名は骨密度が正常範囲内であることが示された。 なお、今年度の結果の中間報告を6月にバンクーバーで行われる「第21回ICNカナダ大会」において研究発表を予定している。
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