生涯発達的視点からみたあそび、たのしみの意義について、とくに老年期におけるたのしみの量と質、及び青年期におけるたのしみの内容と質について検討した。 1)あそびとたのしみ経験-遊びの定義には種々あるが、本研究では睡眠や食事など生存に必要に時間、強制された学業や仕事を除いた経験で、かつ自発的創造的で喜びや満足を伴う経験ととらえている。「あそび」と「たのしみ」のとらえ方に関する分析により、楽しみ経験を調査することにより、生涯を通じて楽しかったと想起される、内的リアリティを持つ、その人にとって意味のある経験が把握されることが明らかになった。 2)老年期のたのしみ-老年期(満60歳以上、男性50名、女性79名)に対するたのしみ経験に関する調査を行い分析した。対象者のたのしみ経験は幼年期から現在まで7時期において平均2〜4件、子供時代と現在では90%以上の人はたのしみ経験をもっていた。しかし20〜40代の頃は20〜30%の人はたのしみ経験をもたず、この時期は第2次世界大戦前後に相当することから、時代が楽しみの量や質に大きく影響していた。また誰とその経験を共有したが、つまり人間関係の視点からたのしみ経験をみると、「友人」「家族」と共有するたのしみは発達段階により変化し、また「一人」でのたのしみのもちかたも、発達段階により特徴があった。 3)たのしみの内容について-青年期男女(男性124名、女性113名)について、楽しみの内容を分析し、発達時期、性差、人間関係等、たのしみの質について分析、検討した。人間関係を伴った楽しみ経験の重要性、家族の意味、男性より女性の方が楽しみ経験は多様であること、楽しみのにはよろこひ、創造性、達成感、有能感、そのた様々な要素があることが明らかになった。
|