研究概要 |
本研究は、介護家族を援助する方法を追究するために、家族における介護体験の意味を明らかにして、介護価値を高めるための援助を検討することを目的としている。本年度は、介護家族の意識や態度に影響を与える一般住民の介護意識に関する調査を実施した。急速に高齢化が進行中(老年人口割合19%)のK市の40〜64歳の住民を対象として、対象特性(性,年齢,職業,家族形態,介護経験の有無,居住期間,近隣との付き合い等)、老親介護実施に関する意識(介護参加意識,実施可能介護行為等)、外部からの介護協力者の受け入れ意識(介護職などの利用希望,依頼希望介護行為等)、介護協力意識(近隣宅への介護協力意識、協力可能介護行為等)、介護への関心・意見等について、質問紙による調査を実施した。その結果、290人(男140人、女150人)から回答を得た。 介護経験あり49%、介護は近い将来直面する問題である89%、介護体験は自分や家族にプラスになる86%であり、介護を自分の身近なこととして考えている。1人以上の老親が生存している224人中、43%には介護経験があった。老親介護を家族皆で共同で等分にしたいが53%(男65%、女40%)、自分が中心となって世話したいが22%(男7%、女40%)、他の家族が中心となるが18%であり、男は家族が共同して行うというものが多く、女は家族が共同してと自分が中心でというものが同率であるが、義父母の介護では後者の割合が高かった。介護経験のあるものはないものに比べて、家族が共同して行うというものが多く、自分が中心となるというものが少なかった。家族以外の介護協力者を希望するものは56%、希望しないものは19%で、性・年齢・介護経験による差はなかった。近隣宅への介護協力の意志では、67%が手伝うと答えていた。先行研究と比較すると、外部支援を得て介護するというものが多く、介護経験あり群はなし群に比して、家族が共同して介護することを希望しているものが多いことが特徴である。
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