研究課題
基盤研究(C)
本年度は、家族介護者の介護体験内容とその認識の肯定的な側面、保健婦・看護婦およびホームヘルパーの介護に関する認識を調べた。調査対象者は、主介護者とその世帯を援助している看護職者およびホームヘルパーとした。介護対象者の疾患・症状、年齢、続柄は、主介護者の体験や認識に強く影響すると推測できるので、可能な限りこれらが異なる対象を選定し、半構成的な面接を実施した。その結果、主介護者37人(男8・女29、20歳代2人・30歳代2人・40歳代4人・50歳代7人・60歳代8人・70歳代8人・80歳代以上5人、配偶者16人・実子10人・義子9人)に面接できた。介護体験の内容は、介護対象者の心身状態・要望に添った介護方法の工夫、問題を予測した対処、介護方法の効率化、他の家族員の介護分担・精神的な支援、介護対象者からの感謝、自分のために費やす時間をもつ、自分自身の健康管理、自分自身の客観視、暮らし難さの体験、諸サービスの活用等が抽出された。また認識面では、実施介護への自信、自分の生き方を現実的に考える、人間にとっての社会性維持の重要性を実感、家庭に認められていることを実感・家庭への感謝、外部支援者に認められていることを実感、介護を生活の一部とする、介護対象者を受容する、他の家族員への介護体験の波及効果の認識等であった。看護職者およびホームヘルパーへの調査では、援助世帯の家族の体験や認識をどのように捉えているか、どのような援助体験が、自身の介護に対する認識を高めているか、援助内容は家族の肯定的な認識を促すことにどのように作用しているかを捉えるために半構成的な面接を実施した。主介護者に面接できた37世帯中、看護職者が援助していたのは33世帯であり、その内29世帯について11人(保健婦5人・看護婦6人、介護経験あり者5人)から、ならびにホームヘルパーが援助していた10世帯中8世帯について7人(内介護経験あり者2人)から情報収集できた。