研究課題/領域番号 |
08672692
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研究機関 | 高知女子大学 |
研究代表者 |
井上 郁 高知女子大学, 家政学部・看護学科, 教授 (60176419)
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研究分担者 |
宮上 多加子 高知女子大学, 保育短期大学部, 助教授 (90259656)
時長 美希 高知女子大学, 家政学部・看護学科, 助教授 (00163965)
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キーワード | 高齢者 / 家族介護 / パーキンソン病 / 在宅ケア |
研究概要 |
本年度は、昨年度パーキンソン病をもつ在宅の高齢者の家族介護者を対象に行った調査(調査1)の1年後の追跡調査(調査2)を行い、比較分析した。同時に、被介護者である高齢者自身の介護状況に対する受け止め方について面接による探索的研究を行った。 調査1と調査2を比較すると、日常生活活動に対して介助を必要とする項目が3項目以下の人が32%から8%に減少しており、障害の進行が考えられた。同時に、介護量も有意に増加し、直接的な介護活動量と介護者役割加重に高い正の相関が見られ、介護者の負担の増加を示しており、進行性の病気をもつ高齢者の介護の困難さが伺えた。また、介護者と被介護者の相関性の良さや介護状況に対する予測や準備を整えることが介護者役割加重を軽減できる可能性のあるものとして示唆された。 面接の対象者は、平均年齢71.2歳で、半数が一人暮らしまたは二人世帯であった。得られたデータを(1)「介護を受けている自分自身に対する認識」(2)「介護者に対する認識」(3)「受けている介護自体に対する認識」の3点より分析した結果、(1)は〔病気から起こる身体の状態〕〔日常生活の中での困難〕〔現在の生活〕〔病気の受け止め方〕〔病気とつきあう〕〔意欲〕から、(2)は〔気づかい〕〔感謝〕〔関係性〕〔肯定的評価〕から、(3)は〔身の回りの世話〕〔情緒的サポート〕〔介護の調整〕〔被介護者にあった介護〕〔被介護者を支える介護〕〔病気への対処〕〔介護に対する気持ち〕〔介護状況の広がり〕から構成されていた。対象者は、病気のために困難な生活を送りながら介護が必要な自分を受け入れ、できるだけ自分で対処していこうとしていた。介護者に対しては思いやりの気持ちや肯定的に介護を評価しながら、相対的に低い位置に自分を置いている関係がみられた。受けている介護に対しては、自分を支える個別的なものと受け止めると同時に、介護状況の広がりの中でとらえていた。
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