研究概要 |
母乳栄養に関する文献検討を行った結果、母乳栄養への援助を評価するためには、質の保証モデルの枠組みを用いて、行うことが有効であることがわかった。すなわち、母乳栄養確立のためには、まず構造変数として、施設側の特性(病棟形態、母子同室性、母乳栄養への考えかた、看護者の有無など)、援助者側の特性(年齢、臨床経験、母乳栄養に対する考え方、提供している援助内容など)および、対象者(妊産褥婦)の特性(年齢、妊娠分娩経験、家族構成、母乳栄養への姿勢、乳房の形など)があり、また、過程変数としては、受けた援助内容であり(分娩期のサポ-ティブケア、母乳に関する援助(乳房マッサージや指導等))などが挙げられる。さらに、結果変数として、母乳栄養率、援助への満足感、児への思い入れ(マタニシティ)などが挙げられる。 そこで、次の段階として、この質の保証モデルの枠組みを活用して、まず、母乳栄養に関する実態の把握を行うことを計画した。高知市保健センターの協力を得て、現在平成8年4月から平成9年1月末までに分娩をした2,774人の母親を対象に、アンケートを配布する。母乳栄養の状態および妊婦分娩産褥期に受けた援助に関しての実態を把握し、その問題を把握する。現在はまだデータ収集の途中である。 また上記の量的研究では、十分とはいえない援助者の受けた詳細なケアや母乳に対する思いについては、質的に捉えることが重要と考え、面接調査も実施している。この調査は、現在8名の妊娠中の母親に面接を行った段階であり、データ収集、分析中である。 以上2側面の研究から分析を行い、質の保証モデルの枠組みによる母乳栄養に関する援助システムを検討する予定である。しかし、上記2調査はいずれも対象者に焦点を当てたものであり、質の保証モデルの枠組みを用いて援助システムを検討するためには、援助者側すなわち、看護者および医師を対象として、母乳栄養に関する援助の実態を把握する必要があると考え、今後の研究計画としたい。
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