研究概要 |
平成9年度の研究目的は行動研究を内容とする代表的な7つの書籍を比較し、批判的内省研究の特性を検討することであった。しかし、すでに、DenzinとLincoln(1994)により精選された質的研究の解説の中に、批判的研究(critical research)の特性がまとめられていた。そのため、予定されていた書籍の比較からDenzinとLincolnによるHandbook of Qualitative researchの検討に変えた。 質的研究はその中に価値観を伴うこと(value-laden nature of inquiry)を強調するので、信頼性、事実描写性、確実性、確証性をいかに示すかが求められる。これらについて、DenzinとLincolnによる文献では、triangulationという以下の5つの考え方が示された。 ・データ三角測量法(data triangulation):1つの研究に多様なデータを用いる方法 ・研究者三角測量法(investigator triangulation):数人の研究者または評価者を用いる方法 ・理論三角測量法(theory triangulation):単一データを多様な知識体系から解釈する方法 ・方法三角測量法(methodological triangulation):1つの問題を研究する多様な方法を用いる方法 ・異分野連携三角測量法(interdisciplinary triangulation):異分野の研究者の連携を用いる方法 本研究では、確証性だけが2人の研究者の意見一致により示されたので、これまでにまとめた研究内容をtriangulationの視点から見直すことが必要になった。 [文献] Denzin.N.K.& Lincoln,Y.S.(Eds.)(1994).Handbook of Qualitative Research.Thousand Oaks,CA:SAGE
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