研究概要 |
本研究は、急性期治療を受けるために一般病院に入院している高齢者に起こりやすいせん妄様状態へのケアモデルを開発することを目的としている。本年度は、一民間病院におけるせん妄様状態を来した患者についての実態調査のまとめと、看護婦によるせん妄への認識と行っているケアに関する質問紙調査を行った。 その結果、3カ月間29名の患者の実態から、せん妄症状の表れ方に7つの特徴的パターン(短期軽快型、症状出現:こぶ型、症状出現:スパイク型、平坦型、長期持続型、長期経過・軽快型、突発型)が認められた。このパターンは、せん妄を引き起こす原因や誘因に係わらず、症状出現の早さ,症状の種類の多さ・強さ,症状持続期間の長短といったせん妄症状の現れ方の特徴を時間軸にそって表現したものである。パターン毎の要因分析により、せん妄症状の出現に影響するものに患者の年齢,性格,痴呆,疾患,環境の変化,緊急入院,不安,安静,チューブ類の挿入,抑制,痛み,睡眠障害といった12の要因が明らかになった。またせん妄症状の消退要因には病状の回復,安定剤の投与,チューブ類の抜去,抑制の解除,ADLの拡大,痛みの消失,夜間の良眠,家族の面会という8要因が含まれていた。 看護婦160名の調査結果から、せん妄患者に実際院行っているケア内容には、安全の確保、コミュニケーション、観察、刺激、生活リズム、薬剤、家族といった要素が含まれており、せん妄を予防するケアには、刺激、生活、コミュニケーション、リラックス、身体面の調整、安全という要素が含まれていた。 これらの結果と関連文献に基づき、アセスメントとケアプランからなるせん妄患者のケアモデル案を現在検討しているところである。次年度は、ケアモデル案を施行・修正し、せん妄患者ケアに効果的なモデルを作成する予定である。
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