本年度の検討対象誌である1901年から1930年までのAJN誌のうち、手元にそろえることができたのは、F.ナイチンゲ-ルが8月に没した1910年と、その直前の1908年、および1925年から1930年までの6年間であったため、まずは上記30年間の目次(1917年まではINDEX)(1918年以降はCONTENTS)をコピーによりそろえ、"看護とは"関係論稿の所在傾向をみるとともに、タイトル上目立った数論文につき分析した。同時に、1908年と1910年の巻にナイチンゲ-ルの看護発見がどう取り上げられているかを探った。これまでのところ以下のような感触を得ることができ、入手した関連古書(復刻版)との一部照合も成った。 1.初期30年間のAJN誌上には、まだ、看護のアイデンティティを切羽つまって追究する"看護とは"論稿は目立たない。看護が専門職であるかどうかという問いは盛んになされているが、専門職の要件の一つである自律性をめぐる論議は、看護のアイデンティティにまで及んでいない。 2."看護とは"の中に公衆衛生看護の占める割合が非常に高い。 3.とはいいうものの、論文タイトル上圧倒的に多いのは疾患名であり、看護は特定の病気に結びつけて論じられている。 4.いったいに"看護とは"に家政の気配が濃厚である。 5.いずれナイチンゲ-ルの看護が"看護とは"の系譜の原点に置かれることの、直接的な予測論稿はないようである。 目下引き続き、平成9年4月中に終了の予定で、1930年までの全誌面につき、"看護とは"関連論稿の取り下しと分析を行なっている。
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