研究概要 |
臨床助産婦教育においてMENTOR制を導入した助産(分娩介助)実習を2年間行い,成果を上げることができた. 本学助産課程6名の選択学生を2年間,5週間の夏期実習中,1週間を分娩実習の適応期間とし,2週間をMENTOR制で,続く2週間をケース受け持ち助産婦のプライマリー制で,24時間を待機実習を行った.臨床の指導者は,平均年齢が31.8歳,助産婦実務経験は4〜19年,平均実務年数は9.3年である. 学生・MENTORの指導者より実習を振り返り,以下の教育成果を得た. 1. 相互理解のもとに,個別性に応じて継続的に一貫した指導ができる. 2. 学生の成長に応じて,段階的に指導内容を統一して指導できる. 3. 対象理解やケア内容を共有化し一回毎の振り返りと評価を,学習過程の中に活かすことができる. 4. 過緊張にならず信頼感を持って楽しく実習ができる. 5. 指導者の助産婦としての判断力,技術,人間性,責任感,助産婦観などが学習できる. 6. 指導者自身の自己研鑚の場となり,自己啓発ができる. しかし,人間関係が基盤であるでその形成に困難が生じる場合には,適時組み合わせの変更ができる体制が必要であり,逆に親密性が深まると甘えや依存の感情が生じてくることや,MENTORと学生のみの関係で,他の指導者やスタッフとの関係が希薄になる傾向もあった. 残された課題は,学生とMENTORの適合性,MENTOR制での指導期間,それに伴うスタッフの勤務体制,MENTORの労力,適性の検討などである.
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